『親王・諸王略傳』資［資宗］

神祇伯 資宗王

前頁「資［資淸②］」へ

『親王・諸王略傳』
　　資［資宗］

フレームなし

工事中

□ 資宗王

　いちじ源朝臣資宗

【官位】
　神祇伯
　從二位

【出自】
　（寛和御後）
　仲資王の二男。

【母】
　近江守卜部宿禰基仲（イ元忠）の女子。

【經歴】

●

元暦元年（一一八四）七月二十四日、後鳥羽院即位敍位において從五位下に敍される（王氏爵）。

◎

『山槐記』元暦元年七月廿四日庚戌

今夜被行御即位叙位入眼。･････
　叙人
　　･････　從五位下資宗王
　　･････

源朝臣資宗

●

元久二年（一二〇五）八月九日、源朝臣を賜姓され、侍從に任じられる。

●

建永元年（一二〇六）十一月十七日、昇殿を聽され、拜賀。

『伯家五代記』所引『仲資王記』建永元年十一月十七日

侍從【資宗】被聽昇殿。即今夜、申拜賀畢。
（裏ニ書テアリ）。十七日。侍從資宗、被聽昇殿之由、小舍人康定告來。給詠物（如例）。今夜、即申拜賀。

●

建永二年（一二〇七）正月五日、從五位上に敍される。（簡一）

●

殿上において頭辨藤原光親を謗ったため、上皇（後鳥羽院）の逆鱗に觸れ、承元二年（一二〇八）五月二十六日、侍從を解官され、除籍される。

◎	『猪隈關白記』承元二年五月廿五日癸亥
◎	『猪隈關白記』承元二年五月廿六日甲子

●

承元二年（一二〇八）十二月十三日、侍從に還任。

●

承元三年（一二〇九）正月十三日、加賀權守を兼任。

●

承元五年（一二一一）正月二十二日、立后に參勤。

柳原本『業資王記』承元五年正月廿二日丙午

女御殿立后。侍從【源資宗】參勤。侍從役云々。

●

承元五年（一二一一）正月二十四日、内裏七瀬御祓の使を勤仕する。

『伯家五代記』所引『業資王記』承元五年正月廿四日

侍從【源資宗】參七瀬御祓云々。

●

建暦元年（一二一一）七月二十二日、内裏七瀬御祓の使を勤仕する。

『伯家五代記』所引『仲資王記』建暦元年七月廿二日

内裏七瀬御祓。侍從【源資宗】勤仕使云々。

●

建暦元年（一二一一）十一月二十五日、賀茂臨時祭にて舞人を勤める。

『伯家五代記』所引『仲資王記』建暦元年十一月廿五日

（裏書）。同廿五日。雪降。今日、賀茂臨時祭也。･････舞人。敦通、基定、貞俊、師季（已上五位皆少將）、隆俊（左衞門佐）、資宗、資俊、實遠（已上侍從七人皆地下云々。資宗一人殿上。今度依有人數、可被免資宗歟之由、主上御氣色也。而於院書、有點云々）。

●

建暦元年（一二一一）十二月十三日、「冷泉若宮職事」に補される。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦元年十二月十三日

今日、侍從【源資宗】被補冷泉若宮【賴仁親王カ】職事。來十八日所宛、可參之由、右大弁宗行朝臣令觸注云々。

●

建暦二年（一二一二）正月三日、御幸始に參仕。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦二年正月三日

（裏ニアリ）。三日。御幸始。公卿、･････。殿上人、･････資宗（侍從）、･････

●

建暦二年（一二一二）三月二十八日、賀茂競馬に參仕。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦二年三月廿八日

今日、於賀茂上下社、被行競馬。侍從【源資宗】爲右方。念入相具。纒頭參仕云々。･････

●

建暦二年（一二一二）四月二十一日、顯經王と共に賀茂祭を棧敷で見物する。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦二年四月廿一日

賀茂祭使左中將資平朝臣、中宮使大進兼隆、今度出立車笠已下、各存新制、止金銅錦繍風流云々。今日予【業資王】不見物。侍從【源資宗】向前治部權大輔【顯經王】棧敷云々。

●

建暦二年（一二一二）五月九日、新日吉小五月會に參仕。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦二年五月九日

新日吉小五月會如例。侍從【源資宗】爲左方。念入參仕云々。

●

建暦二年（一二一二）十二月六日、院御幸（仁和寺宮灌頂）に供奉。

『伯家五代記』所引『業資王記』建暦二年十二月六日

院御幸。今日、仁和寺宮【道助親王】御潅頂云々。侍從【源資宗】供奉（束帶）。

●

建保三年（一二一五）正月五日、正五位下に敍される。

『明月記』建保三年正月六日

下名書樣
　･････
　五位
　　･････
　　源朝臣資宗
　　･････
　　建保三年正月五日

●

建保六年（一二一八）十二月十二日、從四位下に敍される。侍從は元の如し。

『伯家五代記』所引『業資王記』建保六年十二月十二日

下名。侍從【源資宗】叙四位。

●

承久元年（一二一九）十二月十七日、右近衞權少將に任じられる。

九條家本『中右記』紙背文書大治四年冬巻十二月二日至四日裏右近衛府交名

權少將　･････　從四位下源資宗　承久元十二十七

●

承久四年（一二二二）正月二十四日、從四位上に敍される。

●

元仁元年（一二二四）閏七月二十八日、王氏に歸し、神祇伯に任じられる。

●

元仁二年（一二二五）正月五日、正四位下に敍される。（父豐後國重任功）

『明月記』嘉祿元年正月六日

巳時、聞書見來。
･････正四位下（･････資宗王）･････

●

嘉祿二年（一二二六）正月五日、正月敍位において從三位に敍される。

『明月記』嘉祿二年正月六日

頭中將【爲家】書状。･････敍位不委見。神祇伯資宗王敍三位云々。･････巳時許、聞書到來。從三位資宗王。･････從五位下經氏王（天暦）･････

『公卿補任』嘉祿二年非參議從三位「資宗王（三十六【ﾏﾏ】）」

【尻付】正月五日敍。神祇伯如元。

【袖書】故太皇太后宮權大夫（【右傍】兵部卿）仲資王二男。母卜部元忠女（同業資王）。

元暦元七十（イ廿）四日敍位（氏。大嘗會【ﾏﾏ】）。元久二八九賜姓任侍從。建永二正五從五上（簡一）。承元二五廿六解官（於殿上放言頭光親朝臣之故也）。十二月十三日還任。同三正十三兼加賀權介。建保三正五正五下。同六十二十二四位（侍從如元）。承久元十二十七右少將。貞應元正廿四從四上。元仁元壬七廿八歸王氏、任神祇伯。嘉祿元正廿五（イ五日）正四位下（父豐後國重任功）。

●

嘉祿三年（一二二七）正月二十六日、美濃權守を兼任。

『公卿補任』嘉祿三年非參議從三位「資宗王（三十七【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。正月廿六日美乃權守。

『公卿補任』安定二年非參議從三位「資宗王（三十八【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。美乃權守。

『公卿補任』安定三年非參議從三位「資宗王（三十九【ﾏﾏ】）」

【尻付】伯。美乃權守。

『公卿補任』寛喜二年非參議從三位「資宗王（四十【ﾏﾏ】）」

【尻付】伯。美乃權守。

『公卿補任』寛喜三年非參議從三位「資宗王（四十一【ﾏﾏ】）」

【尻付】伯。美乃權守。

『公卿補任』寛喜四年非參議從三位「資宗王（四十二【ﾏﾏ】）」

【尻付】伯。

『公卿補任』貞永二年非參議從三位「資宗王（四十三【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。

●

天福二年（一二三四）正月二十三日、正三位に敍される。四十七歳。

『公卿補任』天福二年非參議從三位「資宗王（四十四【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。正月廿三日正三位。

『公卿補任』文暦二年非參議正三位「資宗王（四十五【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。

『公卿補任』嘉禎二年非參議正三位「資宗王（四十六【ﾏﾏ】）」

【尻付】〔神祇伯脱カ〕

『公卿補任』嘉禎三年非參議正三位「資宗王（四十七【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。

●

嘉禎四年（一二三八）十二月二十日、從二位に敍される。

『公卿補任』嘉禎四年非參議正三位「資宗王（四十八【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。十二月廿日敍從二位。

●

仁治二年（一二四一）十月十三日、神祇伯を資基王に讓る。

『公卿補任』仁治二年非參議從二位「資宗王（五十一【ﾏﾏ】）」

【尻付】神祇伯。十月十三日讓伯於男資基王。

●

寛元二年（一二四四）二月十九日、出家。

『公卿補任』寛元二年非參議從二位「▲資宗王（五十四【ﾏﾏ】）」

【尻付】二月十九日出家（依年來素懷也）。

●

寶治三年（一二四九）薨逝。

『公卿補任』寶治三年（己酉）（三月十八日改元爲建長）非參議從三位「資基王（二十四）」尻付

神祇伯。十二月廿四日復任（父）

【子女】

□	資基王
□	淳資王のち源朝臣守資、源朝臣康成
□	猷宗【[實は]源朝臣資經の男子】
○	宗子女王［四條院即位褰帳女王］
○	吉子女王【資基王の猶子】
□	資光王【業資王の男子】
□	宗舜【業資王の男子】

【逸事等】

貞永二年（一二三三）三月、妻に異藥を進められ、毒殺未遂事件として騒動になる。

内閣文庫本『明月記』目録貞永二年三月

伯三位【資宗王】妻欲進毒於夫。

『明月記』貞永二年三月四日

角田文衛「資宗王の妻」（角田文衛『王朝の明暗』東京堂出版、昭和五十二年（一九七七）三月、五九三～五九四頁。初出、『東方界』第三巻第四号、大阪、昭和五十年）

【備考】

●	『壬生家文書』九一二四八八、寛喜元年六月日付神祇官解寫（『圖書寮叢刊壬生家文書九』（宮内庁書陵部、昭和六十二年二月）一七七頁）の位署に「從三位行伯兼美濃權守資宗王」とある。
●	『壬生家文書』九一二四九二、神祇伯資宗王御敎書（寛喜四年正月十六日）寫、および、裏文書（『圖書寮叢刊壬生家文書九』一八二頁）。
●	『壬生家文書』九一二五〇八、神祇伯資宗王請文（建長三年七月廿七日）（『圖書寮叢刊壬生家文書九』二〇〇頁）

【文獻等】

『大日本史料』第五編之十七

小松馨「白川伯王家の成立」（『神道研究』第一一六号、一九八四年九月、22～45頁。再録、藤森馨『平安時代の宮廷祭祀と神祇官人』（東京、大明堂、平成十二年（二〇〇〇）九月） 125～150頁、藤森馨『改訂増補平安時代の宮廷祭祀と神祇官人』（東京、原書房、平成二十年（二〇〇八）十二月） 142～167頁）

次頁「資［資増］」へ

『親王・諸王略傳』目次「し」へ

『親王・諸王略傳』の冒頭へ

『日本の親王・諸王』の目次へ

更新日時： 2021.04.01.
公開日時： 2015.11.19.

Copyright： Ahmadjan 2015.11 - All rights reserved.