『親王・諸王略傳』恒［恒德］

□	恆正王　のち竹田恆正　たけだつねただ
○	素子女王　のち竹田素子　佐藤素子　もとこ
○	紀子女王　のち竹田紀子　渡邊紀子　のりこ
□	恆治王　のち竹田恆治　たけだつねはる
□	竹田恒和　たけだつねかず　日本オリンピック委員會（JOC）會長　日本馬術連盟國際理事　日本オリンピアンズ協会會長　竹田恆德の三男。　母は竹田光子　評論家竹田恒泰の父。　昭和二十二年（一九四七）十一月一日生。　慶應義塾大學法學部に入學。馬術部に入る。　昭和四十五年（一九七〇）、慶應義塾大學法學部政治學科を卒業。　不二サッシに勤務。　馬術の障害飛越競技で、一九七二年ミュンヘン･オリンピックに出場。　馬術の障害飛越競技で、一九七六年モントリオール･オリンピックに出場。　昭和五十四年（一九七九）、旅行会社「エルティーケーライゼビューロージャパン」を設立、取締役に就任、昭和五十七年（一九八二）、同社代表取締役となる。　昭和六十年（一九八五）三月、東京國際馬術大會にて優勝。　のち、慶應義塾大學馬術部監督、日本馬術連盟國際委員長、國際馬術連盟（FEI）副会長となる。　昭和六十二年（一九八七）七月、日本オリンピック委員会（JOC）委員となる（日本馬術連盟からの推薦）。　昭和六十三年（一九八八）、「ホースマンインターナショナル」を設立、代表取締役に就任。　平成三年（一九九一）、日本オリンピック委員會（JOC）理事となる。　平成十年（一九九八）長野冬季オリンピックにおいてスポーツディレクターを務める。　平成十三年（二〇〇一）四月、日本オリンピック委員會（JOC）常務理事となる。　平成十三年（二〇〇一）十月二十四日、日本オリンピック委員會（JOC）會長となる。五十三歳。　※『日本紳士録』（交詢社、平成六年四月第73版）た173頁f

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竹田恒徳『菊と星と五輪』二八頁によると、「明治四十二年三月四日に私は生まれた。おひな様の翌日である。だからお淑やかなんだというと皆が笑う。反対に私の長女【素子】は五月五日生れなので男みたい、などとからかって冗談を交わしている。」という。

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竹田恒徳『菊と星と五輪』二九頁によると、「名前の恒徳は易の“恒其徳貞”（其の徳を恒にす＝身の行ないを変えぬこと）から採ったという。」

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前田利爲（酒井美意子の父）の日記に、恆德王が非常に優秀で、陸軍大學校時代、拔群の成績であったと書かれているという。

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「酒井美意子（【振假名】さかいみいこ）氏との対話」（金沢誠・川北洋太郎・湯浅泰雄編『華族　明治百年の側面史』講談社、一九六八年四月）三四〇頁（再刊（北洋社、一九七八年四月）三三四頁）

父はずっと日記をつけておりましたのですが、それを見ますと竹田宮様（現ＩＯＣ委員竹田恒徳氏）が大へんご優秀な方だったらしく、陸大時代抜群のご成績で、とても鋭い意見をのべられたなどと書いてあります。

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「皇族親睦會」等では「いつも遊ぶ事を初言」し、老齢の皇族からは苦々しく思われていた。

◎	『梨本伊都子日記』昭和十六年十一月四日

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宣仁親王［高松宮］は、昭和十八年（一九四三）において、時局困難に際し、皇族中に賴むに足るものが少ないと嘆く中で、恒德王は「一臂の力となるべし」と、高く評價している。

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『宣仁親王日記』昭和十八年七月三十一日（土）の次、日記帳第十四册の卷末（『高松宮日記』六ノ五〇九～五一一頁）

秩父宮【雍仁親王】ニシテ些カニテモ活動シ得ラルヽトセバ、三年ノ命ヲ一年ニツメテモ國家ノ危急ニ應ゼラルベキハ明カナルモ、未ダ之ヲタノムベク體力ノ快復シ給ハザルヲ惜ム。三笠宮【崇仁親王】ハ餘リニ幼稚【編者注「若年の意」】ナリ。數年後ヲ委スルニ足ルベキモ、今直ニモノノ役ニ立ツトハ思ヘズ。軍人タラントシテ已ニ命ヲ保ツニ專念シテ今日アリ。政治家タラントシテ未ダ機運ノ熟セザルモノアリ。モトヨリ政治に關與スルニハ東久邇宮【稔彦王】ヲ先ヅオサントスルモ、他ノ皇族ニシテ賴ムニ足ルモノナキ觀アリ。竹田宮【恒德王】ハ一臂ノ力トナルベシ。北白川宮【永久王】ハ已ニナシ。

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オリンピック東京組織委員長を務め、東京オリンピック開催のため盡力。

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国際オリンピック委員会（IOC）委員であった昭和四十三年（一九六八）、メキシコ･オリンピックから歸國すると、オリンピックにおけるナショナリズム高揚を、「國旗・國家を使うのはそぐわない」と批判した。

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昭和天皇の侍從長、入江相政から、非常に高く評價されていた。

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『入江相政日記』昭和四十七年七月十二日（水）

十時から十一時まで竹田恒徳さんのオリンピツクについての進講、非常によかつた。舊皇族ではこの方お一人、或は皇族を入れてもかういふ方があと二、三人もいらつしやればと思ふ。

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『入江相政日記』昭和五十五年七月三十一日（木）

宮殿で竹田さん【恒徳】と色々話す。十時過から一時間餘り兩陛下にモスクワオリムピツクの御説明。なか々々面白かつた。舊皇族として出色の方である。

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『入江相政日記』昭和五十五年八月一日（金）

･････その後お召で拜謁。長官に昨日の竹田さん【恒徳】の話をよくしておくやうに、又、米、日、獨がモスクワオリムピツクをボイコツトしたことが、ソ連の一般民衆にどれだけ分つたかとの仰せ。長官室へ行き、そのことや昨日の内藤君【頼博】の東本願寺のことなどを話す。

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多くのスポーツ關係團體の役職に就き、スポーツ振興に努めた。

●	竹田恒徳『菊と星と五輪 ──皇族からスポーツ大使へ──』（ベースボール・マガジン社、昭和五十二年（一九七七）四月）竹田恒徳『私の肖像画 ── 皇族からスポーツ大使へ』（恒文社、一九八五年七月）
○	『馬よもやま話』（ベースボール・マガジン社、一九八九年六月）
●	竹田恒徳『雲の上、下思い出話　元皇族の歩んだ明治・大正・昭和』（東京新聞出版局、一九八七年十月）
●	竹田恒徳「皇室と軽井沢」（朝吹登水子編『37人が語るわが心の軽井沢 1911－1945』（東京都港区南麻布、軽井沢を語る会、一九八六年八月初版）三三～三六頁）
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●	『平成新修旧華族家系大成上巻』四〇頁
●	『昭和新修華族家系大成上巻』三四頁
●	千田夏光「消された宮家それからの数奇28年」（『現代』昭和五十年十二月號、一九七五年十二月）一一四～一一五頁
●	佐藤朝泰『門閥 ── 旧華族階層の復権』（立風書房、一九八七年四月）八〇～八一頁
●	「日本の名家『旧宮家はいま』１」竹田家（『週刊読売』一九八八年五月八・十五日）二〇～二五頁