『親王・諸王略傳』兼［兼久］

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寛永六年（一六二九）九月十日、伊勢一社奉幣に先立ち、從六位下に敍される。

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『地下家傳』四「兵庫寮　河越姓源　元淸原又王」、「王兼久」

年月日　　　　　　　生
寛永六年九月十日　　叙從六位下
年月日　　　　　　　死

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寛永六年（一六二九）九月十六日、伊勢一社奉幣の使王。宣命案に、從六位下とある。

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『孝亮宿禰記』寛永六年九月十六日戊戌

曇。今日卯剋内宮心御柱正遷宮日時定陣議【儀】有之。･････
次、辰剋外宮心御柱正遷宮日時定陣儀。･････
次巳剋内宮一社奉幣日時定宣命奏聞等陣儀。･････
次午剋外宮一社奉幣日時定宣命奏聞等陣儀。･････
陣儀等畢、于直參向神祇官代（吉田最【宀取】上所前也）。上卿西園寺大納言。辨俊完。六位外記生－。六位史小槻亮昭。少内記中原生職。史生孝昌。官掌左氏房、右重次。召使ヽヽ。左馬允松久。右馬允武教。掃部寮ヽヽ。衞士二人。使部二人等也。忌部代從六位下忌部【齋部】宿禰親賴。使王代從六位下兼久王云々。
御手水具右官掌氏房調進之。天正度、慶長十四年、寛永六如此。賀茂奉幣之時茂左官掌調進也。
外宮奉幣發遣神祇官作法内宮衆同前。

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『弘誓院記』寛永六年九月十六日戊戌

曇。
　宣命（青紙也。爲適朝臣【五條】作進）

天皇我詔旨止掛畏岐伊勢乃度會乃五十鈴乃河上乃下津磐根爾大宮柱廣敷立氐高天原爾千木高知氐稱辭定奉留天照坐皇太神乃廣前爾恐美恐美毛申賜者久止申久。忝以薄德身氐受天之日嗣志與利、貴而愼侈美安而思危布海内淸平而志氐久守社稷留事者皇太神乃廣御惠美厚御助計奈利。惟時造替咸嚴備志氐正整舊典倍來廿一日爾可遂遷宮奈利。依氐幣使乎令發遣免吉日良辰乎擇定氐王從六位下兼久王、中臣從五位下行神祇權少副大中臣朝臣友忠等乎差使氐忌部從六位下齋部宿禰親賢加弱肩爾太繦取懸氐禮代大幣乎令捧持氐奉出賜布。掛畏岐皇太神、此状乎平久安久聞食氐天皇朝廷乎寶位無動久常磐堅磐爾夜守日守爾護幸給比氐公道質直爾武運延長爾護恤給倍度恐美恐美毛申賜者久止申。
　寛永六年九月十六日
天皇我詔旨止掛畏岐伊勢乃度會乃山田原乃下津磐根爾宮柱廣敷立氐高天原爾千木高知氐稱辭定奉留豐受皇太神乃廣前爾恐美恐美毛申賜者久止申久。恭【忝】承神璽氐久保寶祚地聖德淳茂爾志氐武運安全奈留者偏是皇太神乃冥助奈利。惟時造替咸嚴備志氐正整舊式倍來廿三日爾可遂遷宮奈利。依氐幣使乎令發遣免吉日良辰乎擇定氐王從六位下兼久王、中臣從五位下行神祇權少副大中臣朝臣友忠等乎差使氐忌部從六位下齋部宿禰親賢加弱肩爾太繦取懸氐禮代乃大幣乎令捧持氐奉出賜布。掛畏岐皇太神、此状乎平久安久聞食氐天皇朝廷乎寶位無動常磐堅磐爾夜守日守爾護幸給氐一天和平爾八紘靜謐爾恤美加護給倍度恐美恐美毛申賜者久止申。
　寛永六年九月十六日

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寛永七年（一六三〇）九月五日、明正院御即位由奉幣の使王。從六位下。

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『孝亮宿禰記』寛永七年九月五日

今日辰剋、御即位由奉幣發遣陣儀。上卿西園寺大納言。奉行職事中御門左少辨宣順。參仕辨宣順。大内記（【傍注】五條）爲適朝臣。大外記師生朝臣。左大史孝亮。少外記亮守。史小槻亮照。少内記生職。出納（職忠、職在）。官人櫛田持監。使部。
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陣儀畢。巳剋上卿以下參向神祇官代（吉田最【宀取】上所也）。上卿西園寺大納言（塗輿）、辨宣順（同）、少外記亮守、史亮昭、少内記（各塗輿長柄）、左官掌氏房、大藏省高弘、掃部寮延利、左馬寮松久、右馬寮武教、衞士等也。
（【傍注】中臣）祭主正五位下神祇權大副友忠、忌部代親賢（從六位下）、使王代兼久王（同）、卜部（吉田名代。卜部者神祇官參向、伊勢不參向）。雖構幄屋、依大雨、中門下被用幄。
卜部者謂取官幣於神宮二鳥井。神事場渡之作法也。然自勢州禰宜等申旨者、卜部不可入神事場、於一鳥居、官幣可謂取之由申之云々。卜部申旨者、所詮舊記次第可被仰付急度不被仰付者、不可參仕之旨申之。於此度者、先神祇官役斗可相勤、參向勢州之事者、重而可有御穿鑿之旨、攝政殿并神宮傳奏、武家兩傳奏等有仰之故、神祇官役斗相勤之。
酉戌剋許事了。各退出。雨降。
幣物者渡衞士云々。

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國學院大學所藏河越家記録『諸願屆録』22「使王參向并語合之例書」によると、寛永二十年（一六四三）十月十八日の後光明院即位由奉幣の使王は兼久王であるとされる。兼春王を參照せよ。

●	藤森馨『平安時代の宮廷祭祀と神祇官人』（大明堂、平成十二年（二〇〇〇）九月）
●	藤森馨「國學院大學図書館所蔵「河越家記録・文書」の紹介と目録」（『國學院大學図書館紀要』第六号、平成六年（一九九四）三月、75～98頁）
●	嶋津宣史「國學院大學図書館所蔵河越家記録『諸願届録』（翻刻・紹介）」（『國學院大學図書館紀要』第七号、平成七年（一九九五）三月、89～127頁）