春枝王


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『 親 王 ・ 諸 王 略 傳 』
  
[春枝]

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春枝王
 
【出自】
 天武天皇の五世王。左京人。
 高市皇子の玄孫。
 
仲嗣王の八男。
 秋枝王の兄弟か。
 
『續日本後紀』承和十年六月丙申【丙戌歟】
左京人從五位下春枝王之[子]六世岑正王、是子女王、貞子女王、正六位上秋枝王之子六世原雄王等四人、賜姓高階眞人。淨廣壹高市皇子後也。
 
【經歴】
七九八年(延暦十七年)生。
幼少期より嵯峨太上天皇に仕える。
蔭位により正六位上に敍される。
承和初、越後介となる。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
承和十年(八四三)正月十一日、諒闇にもかかわらず、治國者として特に選ばれ、正六位上から從五位下に敍される。
『續日本後紀』承和十年正月庚子
授正六位上春枝王、外從五位下御輔朝臣眞男、正六位上藤原朝臣世數、安倍朝臣安正、橘朝臣時枝、常道眞人兄守、安倍朝臣甥麿、齋部宿禰木上並從五位下。正六位上山田宿祢文雄、山代宿祢氏u並外從五位下。皆欲遣治國及任要官、特所叙也。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
承和十年(八四三)正月十二日、能登守となる。
『續日本後紀』承和十年正月辛丑
[以]從五位下春枝王爲能登守。
嘉祥四年(八五一)二月十三日、先皇(仁明天皇)御忌齋會行事司に定められ檢集校會衆僧房司となる。時に散位從五位下。
『日本文コ天皇實録』仁壽元年二月丙辰
定 先皇御忌齋會行事司。・・・・・ 散位從五位下春枝王・永貞王 ・・・・・ 爲檢集校會衆僧房司。
仁壽三年(八五三)七月二十一日、中務少輔となる。
『日本文コ天皇實録』仁壽三年七月庚戌
從五位下春枝王爲中務少輔。
仁壽三年(八五三)十月十六日、正親正となる。
『日本文コ天皇實録』仁壽三年十月癸酉
從五位下興岑王爲中務少輔。正四位下南淵朝臣永河爲因幡守。從五位下春枝王爲正親正。
仁壽四年(八五四)正月七日、従五位下から從五位上に敍される。
『日本文コ天皇實録』齊衡元年正月壬辰
[授]從五位下春枝王從五位上。
齊衡二年(八五五)正月十五日、下總守となるが、病が篤かったため任官せず、隱居養生した。しかし、天恩により、諸節祿および位祿等を、現任に準じて支給された。
『日本文コ天皇實録』齊衡二年正月丙申
[從五位上春枝王爲下総守。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
齊衡三年(八五六)九月十三日卒去。五十九歳。時に散位從五位上。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
散位從五位上春枝王卒。春枝[王]四世從五位下仲嗣[王]第八之男也。爲人謙退。敦崇佛道。弱仕 嵯峨太上天皇。承和初爲越後介、頗有政績。十年正月叙從五位下。時當諒闇、殊擇治國者。春枝預此選叙之、即爲能登守。彼國累年荒廢、百姓煩擾。春枝到國、比及三年、國漸興復、民得綏安。上請以定額大興寺、爲國分金光明寺。安居之講、自此勤修。梵唄之響、晝夜無休。仁壽三年七月爲中務少輔。十月遷爲正親正。四年正月叙從五位上。齊衡二年正月爲下総守。稱病篤不之任、隱居養痾。有恩、諸節祿及位祿等、准見任給。卒時年五十九。
 
【逸事】
人となりが謙退で、厚く佛道を尊んだ。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
良吏として知られる。越後介として、頗る政績があり、治國者として特別の敍任にあずかった。また、能登國は、累年、荒廢し、百姓が煩擾していたが、春枝王が能登守として到ると、赴任三年に及ぶころ、能登國は漸く復興し、民は綏安を得たという。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑
春枝王の上請により、定額寺(国家の援助を受ける有力寺院)であった、七尾の大興寺(能登臣の氏寺で、承和十年(八四三)十二月に創立の官符を得た)が能登の國分寺となった。なお、能登國分寺は、天正五年(一五七七)に燒失し、昭和四十五年(一九七〇)に本格的な發掘調査が開始され、昭和四十九年(一九七四)、「能登国分寺跡附建物群跡」として國指定遺跡となった。
『日本文コ天皇實録』齊衡三年九月癸丑

石川県 鹿島郡 中能登町 春木の天~社(てんじんじゃ)(天~宮、藥師十二~)は、能登守となり赴任して春木に居住した春枝王が少那毘古那命を崇敬して鎭祭したという。
天神社(鹿島郡中能登町春木フ甲17) - 石川県神社庁
https://www.ishikawa-jinjacho.or.jp/shrine/j1424/
 
【子女】
岑正王  のち高階眞人[岑正]
是子女王 のち高階眞人[是子]
貞子女王 のち高階眞人[貞子]
 
【關聯サイト】
倉本一宏「長屋王の子孫・春枝王に見る、平安時代における皇親の政治的役割と没落 平安貴族列伝(49)」(JBpress (ジェイビープレス)、2024.4.24
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80573
長屋王の子孫・春枝王に見る、平安時代における皇親の政治的役割と没落 平安貴族列伝(49) | JBpress (ジェイビープレス)
※ 春枝王は五世王であるので、皇親でなく諸臣である。


 
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更新日時:2024.04.24.
公開日時:2021.06.18.

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