『親王・諸王略傳』壽［壽陵］

歓喜寺寿陵

□【僧】壽陵

　歡喜寺の僧。
　土御門宮壽龍（邦世親王の男子）と同一人と推定される。

【出自】
　童形「圓」「圓ー」の男子。
　後二條院の玄孫。邦良親王［皇太子］の曾孫。邦世親王［土御門宮］の孫。

◎

吹上本『帝王系圖』（宮内庁書陵部所藏。資料番號 458 11）

　式部卿有忠卿養君
─邦世親王───┐
　母同　　　　　│
△　　　　　　　│
┌───────┘
│
│　　早世
├─童形────┐
│　　　　　　　│
│東大　東南院　│
├─觀滿　　　　│
│　　　　　　　│
│　　比丘尼　　│
└─理長　　　　│
　　　　　　　　│
┌───────┘
│　歡喜寺
└─僧壽陵───┐
　　　　　　　　│
┌───────┘
│
└邦滿

△　兵部卿親王
──邦世───┬邦成王
　　号土御門宮│
　　　　　　　│遁世壽龍
　　　　　　　├土御門宮──┐
　　　　　　　│　　　　　　│
　　　　　　　│東大寺々務　│
　　　　　　　└觀海　　　　│
　　　　　　　　　　東南院　│
┌─────────────┘
└邦滿柳原宮

◎

少外記平田家本『本朝皇胤紹運録』（早稲田大学所藏。資料番號イ4-2478-178）

　│
┌┘　　　　　　　童形遁世
│或本童形　　　　歡喜寺
│　　早世　　　禅
├円──────壽陵─┐
│　　　　　　┌───┘
│東大寺別當　└邦滿
├觀海東南院
│
│ 比丘尼
└理長

◎

『尊卑分脈』（後二條院）

　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　童形遁世
　│ 三品　式部卿　　　　　　早世　　　禪　歡喜寺
●├ 邦世親王　──┬ 童形　──── 壽陵　──── 邦滿　
　│ 母同康仁王　　　│ 母　　　　　　母　　　　　　母
　│　　　　　　　　　│

※

『稿本後二條天皇實録』三三四頁〔按〕に、

村上本本朝皇胤紹運録ニ壽陵ヲ圓ーノ子ト爲セドモ、圓ー意味不明ニシテ吹上本帝王系圖ニ見エタル童形ト同人ナルヤ詳カナラズ、又古版本本朝皇胤紹運録ニ觀海ノ子ニ係ケタルモ遽ニ信ズベカラズ、

とある。

【經歴】

●	落飾して禪僧となり、歡喜寺に住す。
●	遁世。

【子女】
　□ 邦滿［柳原宮］

【備考】

●

玉村竹二『五山禅僧伝記集成』（講談社、昭和五十八年五月）149頁「景甫壽陵（けいほじゅりょう）」に、

　臨済宗夢窻派。法諱は壽陵。別に栖雲子と号する。俗は後二條天皇の後裔、木寺宮（【振假名】こでらのみや）の出身、邦世親王の王孫。法を瑞溪周鳳に嗣ぎ、大慈門派に属し、相国寺慶雲院の徒にして、屢々同院塔主を勤めた。延徳年間（一四八九－一四九二）に相国寺に蔵主（【振假名】ぞうす）を司り、明応年間には同寺の首座（【振假名】しゆそ）に昇位し、永正三年（一五〇六）前後には同寺に景徐周麟に随侍し、又その頃同寺鹿苑院に塔主（即ち僧録）たりし文摠壽顯の侍衣を司り、僧録の業務を補佐し、享禄年間後半より、天文四年（一五三五）頃には、景甫自身が鹿苑院塔主を司り、僧録の事を管掌し、この間何時の頃か、相国寺に住し、享禄末年から天文初頃には南禅寺に昇住した。楷書を能くし、景甫様（【振假名】けいほよう）と称せられた。示寂年代不詳。門生に子建壽寅あり。
　〔参考文献〕相國寺塔頭末派略記　鹿苑日録　天龍宗派　一粟和尚相國五會録　翰林葫蘆集　寅闇四六後集　靈洞雜記

とある。しかし、年代的に、この景甫壽陵は邦滿［柳原宮］の父であるとは認められない。よって、邦世親王の孫の「壽陵」と景甫壽陵とは別人である。

●

【文獻】

●	『稿本後二條天皇實録』三三四頁「皇玄孫壽陵」
●	赤坂恒明「柳原宮考 ── 大覚寺統の土御門宮家 ──」日本史史料研究会研究会報『ぶい＆ぶい』（無為無為）第二十七号、日本史史料研究会、二〇一四年五月、1～22頁

更新日時：2025.01.18.
公開日時：2025.01.17.