『親王・諸王略傳』資［資忠③］

白川資忠 / 資忠王

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『親王・諸王略傳』
　　資［資忠③］

フレームなし

工事中

□ 資忠王

【法諱】
　乘任

【稱號】
　「伯二位入道」
　「白川二位入道」

【出自】
　寛和御後
　顯邦王の男子。

◎

『尊卑分脈』花山源氏「顯邦王」の子

　〔【脇坂本・前田本・内閣文庫本】ーー出家〕
　正二位【「正二位」脇坂本・前田一本・内閣文庫本ナシ】
　左中將
　伯從二位【「伯從二位」脇坂本・前田一本ナシ、「伯」内閣文庫本ナシ】
─資忠王【「王」脇坂本・前田一本・内閣文庫本ナシ】─
　母【「母」脇坂本・前田一本・内閣文庫本ナシ】

【官位】
　神祇伯
　正二位

【經歴】

●

一三七二年（應安五年）生。

※	『薩戒記』正長元年八月廿五日戊申條より逆算。

●

敍爵。

●

永德三年（一三八三）十月、左近衞權少將となる。

壬生家文書［壬293］叙位除目関係文書23『叙位七卷文書并莒文外文書等草（至德四年正[月]）』「兵部省　合武官主典已上補任帳」左近衞府（權少將）

　　正五位下源朝臣資忠　永德三年十月　日任

●

至德四年（一三八七）正月までに正五位下に敍される。

●

明德元年（一三九〇）四月二十五日、相國寺における等持寺殿（足利尊氏）三十三回忌御八講五巻日に、「香炉付松打枝」を捧物とする。

『等持寺殿三十三回忌御八講五巻日捧物注文』

白川少將
　資忠朝臣

香炉付松
打枝

●

左近衞權中將に任じられる。

◎

『伯家部類』「白川家系圖」

│　　　　正二位伯從二
└─資忠────────
　　　　　左中將ゝゝゝ出家

◎

『兼宣公記』明德三年閏十月十三日の前

中將資忠朝臣

●

應永元年（一三九四）十月、神祇伯に任じられる。

『伯家部類』「白川神祇伯家世系」

　　　　　　神祇伯應永元年十月日任
──顯忠王────────
　　　　　　正二位

※	「顯忠王」は「資忠王」の誤り。

『伯家部類』「白川家傳」

　　　顯忠王　資忠王也
應永元年十月　日　　　　任^ス_二神祇伯^ニ_一
應永九年正月六日　　　　從三位三十一歳　神祇伯如^シ_レ元^ノ
同十一年　月　日　　　　美濃權守
同十六年正月五日　　　　正三位三十八歳
同二十二年正月六日　　　從二位四十四歳
同三十年　月　日　　　　正二位五十七歳
正長元年八月十八日　　　出家

史料編纂所所藏寫本『白川家譜』「白川家々傳」

　　　資忠王從二位神祇伯顯邦王男
應安五壬子年、誕生。應永元年七月日、任_二神祇伯_一。同九年正月六日、從三位。神祇伯如_レ元。同十一年月日、美濃守。同十六年正月五日、正三位。同廿二年正月六日、從二位。同三十五年月日、正二位。同年八月十八日、出家。

●

應永二年（一三九五）正月五日、從四位上に敍される。二十四歳。

『實冬公記』應永二年正月五日

從四位上･････資忠王（臨時）　　橘以基（臨時）

●

美濃權守を兼任。

●

應永九年（一四〇二）正月六日、從三位に敍される。三十一歳。

『公卿補任』應永九年（壬午）非參議從三位「資忠王（三十一）」尻付

正月六日叙。神祇伯。美乃權守。

『公卿補任』應永九年（壬午）非參議從三位「資忠王（三十一）」袖書

父故顯邦王息。〔母。【山科本】〕

●

應永十年（一四〇三）、美乃權守を辭す。

『公卿補任』應永十年（癸未）非參議從三位「資忠王（三十二）」尻付

神祇伯。美乃權守。

『公卿補任』應永十一年（甲申）非參議從三位「資忠王（三十三）」尻付

●

應永十六年（一四〇九）正月五日、正三位に敍される。三十八歳。

『公卿補任』應永十六年（己丑）非參議從三位「資忠王（三十八）」尻付

神祇伯。正月五日叙正三位。

『公卿補任』應永十七年（庚寅）非參議正三位「資忠王（三十九）」尻付

●

應永十九年（一四一二）七月五日、強盗に入られ、「舍弟」が負傷した。

『山科家禮記』應永十九年七月五日

次。今夜伯殿【資忠王】へ強盗入テ、朝堀被打畢。舍弟手ヲ負。希代事也。

●

應永二十一年（一四一四）三月二十三日、除服宣下。

『公卿補任』應永廿一年（甲午）非參議正三位「資忠王（四十三）」尻付

神祇伯。三月廿三日除服宣下（輕服）。

●

應永二十二年（一四一五）正月六日、從二位に敍される。四十四歳。

『公卿補任』應永廿二年（乙未）非參議正三位「資忠王（四十四）」尻付

神祇伯。正月六日從二位。

『公卿補任』應永廿三年（丙申）非參議從二位「資忠王（四十五）」尻付

●

應永三十年（一四二三）八月十一日、止雨奉幣が神祇官から差進された時、從二位行神祇伯。

『康富記』應永卅年八月十一日己未

從二位行伯資忠王

●

應永三十五年／正長元年（一四二八）、正二位に敍される。

『公卿補任』應永卅五年（戊申）非參議從二位「▲資忠王（五十七）」尻付

神祇伯。月日叙正二位。八月十八【廿八】日出家。〔永享十二年正月廿一日薨【九條本追筆】〕。

●

正長元年（一四二八）秋初、中風を患う。

『薩戒記』永享二年二月九日

京都大學國史研究室本『建内記』正長元年十月記紙背文書（二ウ）

伯二位【資忠王】所勞散々の事候。【以下書カズ、反古】

●

正長元年（一四二八）八月二十五日、病が危急に及び、神祇伯を辭し、その讓りにより、子源朝臣雅兼が神祇伯に任じられる。

『薩戒記』正長元年八月廿五日

後聞。今日以正四位下行左近衞權中將源朝臣雅兼（三十三歳）被任神祇伯。依父從二位資忠卿讓也。今日則雅兼復王氏。是例也。受父讓定希代例歟。可謂幸運。･････

後に病は本復。後日、子に神祇伯を讓るための假病との疑いを持たれる。

●

正長元年（一四二八）八月二十八日または二十九日、出家。五十七歳。以後、「伯二位入道」「白川二位入道」と稱される。

『薩戒記』正長元年八月廿五日戊申

後聞。今日白川二位資忠卿（前神祇伯。五十七歳）出家。先是敍正二位（非參議正二位有例云々。可尋宣下日）。依武家執奏樣稱病危急之由、去廿五日讓職於男雅兼王。然而所勞非大事云々。

『薩戒記』永享二年二月九日

白川二位入道（資忠卿）自去々年（正長元）秋初、被侵中風。所勞八月之比、已及危急。仍申讓伯職於子息雅兼（八月廿五日被宣下）、出家（同廿九日）。其後雖復本、起居未輒。仍至去年【永享元年】冬、不能細細出頭。十二月廿六日始參右將軍殿。督無對面云々。是彼禪門構虚病申、讓職於子、遂出家之口之由、將軍深以令領解給。近日此事再興。二品禪門可獻罰文之由、被仰下（藤宰相入道申次之）。可爲大師勸請起請云々。而件書樣不尋得候。有所縁于山徒者、可尋給之由、夜前來門外被示之。仍尋重秀法印（号花德院）之處、今日注進之。則遣禪門許畢。件文只奉書載山中諸佛薩埵諸天善神等悉奉注載也。仍無益不注留之。

●

永享七年（一四三五）十月二十六日、後崇光院新造御所立柱において、馬を進獻する。

『看聞日記』永享七年十月廿六日

･････此外御馬被進人々。
　･････伯二位入道【資忠王】（同【代百疋】）、･････
十三人進之。･････

●

永享七年（一四三五）十二月十九日、後崇光院新造御所への「宮御方」（のちの貞常親王）の移徙において、女房出車を提供した。

『看聞日記』永享七年十二月十九日

晴。但雪時々降。･････抑宮御方【貞常】（丁絹、御半尻）・南御方（白浮織物小袖）・女中（白）・姫宮達御移徙之儀。宮御方御車（常磐井宮【直明王】車進之）、南御方同車。御尻乘春日【庭田重有女】・新中納言【飛鳥井雅世弟女】候。出車（伯二位入道【資忠王】進之）右衞門督・御乳人（【傍注】内裏）・中將客人（【傍注】尼公）・御今等乘。･････

●

永享七年（一四三五）十二月二十四日、翌日の後崇光院新造御所への室町殿渡御のために、「美物」を種々、後崇光院に獻じた。

『看聞日記』永享七年十二月廿四日

明日助成、三條【正親町三條實雅】、伯二位入道【資忠王】、三方山城入道【範忠】等、美物種々獻之。

●

永享七年（一四三五）十二月二十七日、歳末の禮のため、室町殿、次いで後崇光院御所へ參賀。

『看聞日記』永享七年十二月廿七日

室町殿【義敎】歳末人々群參、其次是へ參賀人々、･････伯二位入道【資忠王】（馬（未到）・太刀）･････伯三位【雅兼王】（御劍）･････資益･････。皆對面。･････

●

永享七年（一四三五）十二月二十九日、歳末の禮のため、後崇光院に劍を持參。

『看聞日記』永享七年十二月廿九日

･････伯二位入道【資忠王】、中山宰相中將【定親】（直衣）、千種宰相中將【具定】常磐井殿【直明王】爲御使、御劍持參。･････

●

永享八年（一四三六）二月二十五日、長講堂領の丹波國草野・土野谷兩村を再び安堵された後崇光院に賀を申す。

『看聞日記』永享八年二月廿五日

早旦、源宰相【庭田重有】三條【正親町三條實雅】へ被喚參。丹州草野・土野谷兩村事、梅監主（相國寺都聞）知行云々、有罪科子細、所領・財寶等悉被闕所、相國寺ニ被寄。件兩村、此御所御領之由申。然者可有御管領之由、公方【義敎】被申。飯尾大和守【貞連】同此由申。珍重之間、忩歸參可申入。但兩村ハ田向前宰相【經兼】所領也。梅監主、借物ニ入て流了。仍監主令知行之由、源宰相【庭田重有】申之間、其由公方へ披露申。已進之上ハ人給ニなされんとも可爲御意之由、重被申。源宰相忩歸參、此由申。不存寄御沙汰珍重也。是ハ野口上村【丹波國】別納長講堂領也。最絹塵地也。崇光院御時、田向爲御恩拜領了。舊領再安堵、恩賜之至、殊悦入之由申。御劍進之。源宰相立歸三條へ參。･････伯二位入道【資忠王】參。御領事賀申。對面。

●

永享八年（一四三六）八月一日、後崇光院に初めて八朔御憑を進献。

『看聞日記』永享八年八月一日

･････御憑初進人々。
　･････伯二位入道【資忠王】、･････伯三位【雅兼王】、･････定兼朝臣【白川】、･････

●

永享八年（一四三六）十二月二十七日、歳末の禮のため、室町殿、次いで後崇光院御所へ參賀。

『看聞日記』永享八年十二月廿七日

歳暮之禮室町殿【義敎】人々參賀云々。其次是【伏見殿御所】へ參賀人々、･････伯二位入道【資忠王】、･････資益（【傍注】伯少將）【白川】（【割注】衣冠）･････等參。皆對面。･････

●

永享十二年（一四四〇）正月二十一日、薨逝。六十九歳。

『建内記』永享十二年正月廿日甲子

後聞。伯二位入道（資忠王。法名乘任）円寂。可然之仁也。可惜々々。初出仕之時分無等閑被扶持。故大臣殿【万里小路仲房】御扶持之報云々。旁異他相存之處、□□□多年專稱之念仏定不空歟。上品上生無其疑者哉。

『建内記』永享十二年二月三日丙子

･････次爲弔伯二位入道事（資忠王。去月廿一日円寂）、向伯三位（雅兼王）亭。先於門前傳達之處、三位於仁和寺本願寺行中陰篭居也。孫子少將資益、在此亭。爲齋屋之間不穢各別也。只輕服耳云々。仍入門登堂。羽林謁見。述心志了。平生無一事之違失。子孫濟々、今生之榮無所殘、來世事多年專修之行者也。其功豈空乎。自去月十四日風氣・傷寒云々。心神惘然。而臨終正念稱名不退。往生極樂無疑。歎中悦者哉。予自初出仕之時異于他申承。無等閑之仁也。殊落力者也。凡於天下存（【右傍】見來）公武之往事之人當時是希歟。此禪門独存者哉。殊以心操柔和、神道如（【右】掛）明鏡。佛法無失（【右傍】棄）念珠。可惜々々。可哀々々。

【子女】

源朝臣資雅

豐子女王［稱光院即位褰帳］【藤原朝臣綱光［廣橋］の母】

【僧】
或は、もと普勸寺了敬上人附弟と同人か。

【^もと普勸寺了敬附弟】

資忠王の末子。
雅兼の子となる。

普勸寺了敬の附弟となり、佛門に入るが、了敬の扶持が無かったため、雅兼のもとに戻る。

『伯家五代記』所引『仲資王記』建久五年閏八月廿七日
『建内記』嘉吉元年八月三日丁卯

資益舍弟廿二三歳（実者故二位（【右】入道）資忠王末子也。而爲雅兼卿子。仍資益弟云々）普勸寺了敬上人爲附弟悉皆可扶持之由請之。仍入尺門【釋門】之處、更無扶持。仍今在伯卿許云々。

【著述等】
　●『資忠王記』

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更新日時： 2021.04.29.
公開日時： 2016.07.26.

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