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『鷲見家譜』（『大日本史料』第六編之三、六五五頁所引）
美濃國藤三郎忠保【鷲見】事、今月十日當國於關〓【廻～迫】北野、馳向御敵尾崎宮、致合
戰忠、討留數輩御敵候畢、此條東中務丞殿、并土岐左兵衞藏人（【編者割注】○賴春）殿代出雲
公、相共致合戰候之上者、所見分明候歟、然爲後證、欲賜御一見状候、仍状如件、
建武三年八月十日
御奉行所 承了御書判（【編者傍注】土岐賴遠カ）
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『鷲見家譜』（『大日本史料』第六編之三、六五五～六五六頁所引）
鷲見藤三郎忠保申、今月十三日馳向八代城（○美濃方縣郡ニ、八代村アリ、）致合戰忠之處、一
族孫四郎被疵（左頸骨）射疵、若黨彌三郞被疵（右足）訖、是等之子細、同時合戰之間、東
中務丞、土岐左兵衞藏人殿出雲公、令見知畢、見言上、同時御合戰之間不及
子細候、且給御證判、爲備後日龜鏡、言上如件【六五六頁】
建武三年八月日 藤原忠保
進上 御奉行所 承了御書判
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『大日本史料』第六編之三（東京帝國大學、明治三十六年（一九〇三）三月）六五五～六五七頁、延元元年八月十日癸未「尾崎宮、足利氏ノ黨ト美濃ニ戰ヒ給フ、」
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『大日本史料』第六編之三、六五六頁に、
○皇胤紹運録ニ、惟明親王ノ御曾孫ニ、尾崎宮アリ、公卿補任、一代要記
ニ據ルニ、親王ノ御曾孫ニ〓【晶灬】王アリ（元弘三年五月二十四日ノ條參看、）元弘三年六月十
二日、彈正尹ニ任ゼラレ給ヘリ、而シテ本年正月十三日ノ條ニ收メタ
ル太平記ニ、彈正尹宮トアルヲ、神田男爵本、及ビ參考太平記ニ引ケル
天正本ニハ、竝ニ尾崎宮ニ作レルヲ見レバ、尾崎宮ハ即チ彈正尹宮ニ
シテ、〓【晶灬】王ノ御事ナランカ、
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長善寺文書『從足利將軍鷲見氏代々江感状寫』（『岐阜県史 史料編 古代・中世』一（岐阜県、昭和四十四年（一九六九）三月）七六九頁上下 所收）「二三 藤原（鷲見）忠保軍忠状寫」
美濃國藤三郎忠保【鷲見】事、今月十日當國於關迫北野馳
向、御敵尾崎宮致合戰忠、討留數輩御敵候畢、此條
東中務丞殿并土岐左兵衞藏人殿代出雲公相共、致合
戰候之上者、所見分明候歟、然爲後證、欲賜御一見
状候、仍如件、
建武三年八月十日 ○コノ文書、差出ヲ闕ク
御奉行所
承了 御書判
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長善寺文書『從足利將軍鷲見氏代々江感状寫』（『岐阜県史 史料編 古代・中世』一、七六九頁下「二四」
鷲見藤三郎忠保申今月十三日馳向八代城、致合戰
忠之處、一族孫四郎被疵（左頸骨）射疵、若黨彌三郞被
疵（左足）、就是等之子細、同時合戰之間、東中務丞・土
岐左兵衞藏人殿出雲公令見知畢、見參上、同時御
合戰之間、不及子細候、且給御證判、爲備後日龜
鏡、言上如件、
建武三年八月 日 藤原忠保
（【傍】進上）御奉行所
承了 御書判
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『岐阜県史 史料編 古代・中世』一（岐阜県、昭和四十四年（一九六九）三月）七六三頁上、「三 長善寺文書 ○郡上郡高鷲村」に、
長善寺文書、表紙ニ「從足利將軍鷲見氏代々江感状寫」
トアル一冊ニ収メラレテアリ、コノ文書ハ、所謂「鷲見
家譜」ト呼バレテイルモノニシテ、「鷲見家譜」ハ、山
縣郡高富町鷲見八千代氏・名古屋市西区山田町鷲見英保
氏ニモアリ、イマ、長善寺文書ニ據リテ採ル、マタ、東
京大學史料編纂所影寫本「鷲見文書」（大正十三年、所
蔵者不詳）モ、同系統ノ書ナリト雖モ、若干ノ異同アリ、
ナホ、コノ文書疑義アリト雖モ、參考ノタメココノ掲グ、
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但し、『鎌倉遺文』古文書編 第四十一巻には、二六四（一六二五五）頁所收第三二一五九文書「美濃鷲見忠保軍忠状案（○美濃長善寺文書）」、および、同二八一（一六二七二）頁所收第三二二二七文書「濃美【ﾏﾏ】鷲見忠泰著到状案（○美濃鷲見家譜）」と、『鷲見家譜』所載の文書案が採録されている。
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慈恩寺所蔵『遠藤家御先祖書（写）』（『郡上八幡町史 史料編 諸記録』（八幡町、昭和六十年（一九八五）十一月）所收）、四頁上下
一同御代【七代東常顕】尊氏卿ニ御仕へ貞和元年八月廿九日天龍寺供奉之時
尊氏卿之先陣ニ供奉被成候、則太平記ニモ有之候（張紙）
一同御代御籏下鷲見家軍功之証文文書之写し
美濃国鷲見藤三郎忠保申ス今月十日当国於関廻北野馳向御
敵尾崎宮合戦忠保討留数軍御敵候畢此條東中務丞殿並土岐
左兵衛蔵人殿代出雲公致合戦相共ニ候故ハ所見分明候歟然
爲後証欲賜御一見状候如件
建武三年八月日
尊 氏 御 書 判
御奉行所承了
鷲見藤三郎忠保申今月十三日馳向八代城致合戦忠之所一族
孫四郎被疵左頭骨若党孫三郎被疵右之足畢是等子細合戦之
関東中務丞殿へ土岐左兵衛蔵人殿出雲公令見知畢見知之上
同時御合戦之間（不及脱）子細候旦給証判爲備後日亀鏡言上如件
建武 八月日 藤 原 忠 保
御奉行所承了 御 書 判
鷲見藤三郎忠保申今月三日馳城内属飛騨殿御手内廿四日馳
伺入代城江打入城内（致脱）令軍忠首一討取一族孫四郎被疵右手
畢、云疵云首当日被（遂脱）御実検畢、是等次第東中務丞殿佐竹太
夫同時致合戰令見知者也且給御証判爲備後日亀鏡言上如件
建武三年九月廿六日 藤 原 忠 保
進上御奉行所承了 御 書 判
右之外証文数多御座候得共東家之御事無之分ハ略仕候
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久米邦武『訂正増補 大日本時代史 南北朝時代史』（早稲田大學出版部、大正五年（一九一六）二月）四四八～四四九頁に、
･････ 十日尾崎宮の軍美濃に入り、東中務亟及び土岐氏（賴春の代出雲公）の兵と關迫北野八代（山縣軍）に戰ふ（鷲見文書）、是は伊吹山の手なるべし、尾崎宮は去年東山道將軍の彈正尹〓【晶灬】王なるべし。･････ されば行在に於ても亦諸國宮方の望みに從ひ、親王諸王を東西の大將軍に遣はされ、其錦旗の下に戰ふこととなれり、･････ 諸王の近江口出張は六波羅征討の時よりなりき。
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『郡上八幡町史』上巻（太田成和編集。岐阜県郡上郡八幡町、八幡町役場、昭和三十五年（一九六〇）八月）131～132頁に、
鷲見忠保 ･････
同年【延元元年（建武三年・一三三六年）】六月、尊氏は京都を占領し東寺（京都市）にたてこもって比叡山（滋賀県）の南朝軍に向かい合い、その戦闘は九月末まで続いた。当時飛騨国司姉小路氏は宮方に味方し、美濃国の土岐氏は武家方の頭目として国内の諸氏と相通じ、戦乱は止むところを知らなかった。美濃国の宮方軍は南濃・中濃に散在し、尾崎宮がこれを統率した。尾崎宮は高倉天皇（一一六一～八一）の玄孫で東濃・信濃・三河地方などの宮方の諸兵を激励して武家方に対抗したが、忠保は東常顕とともに、同年八月一〇日尾崎宮と、関・迫・北野附近の各地に対戦し、一三日には八代城を攻めて二四日におとしいれるまで苦戦した。
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勇将東常顕 ･････ 彼は延元元年八月に地頭鷲見忠保と連合して出陣し、尊氏に所属の土岐の軍勢に従って、八月一〇日に宮方の軍と関・迫（関市の迫間か）・北野（山県郡山県村）などに戦い同月一三日は八代（岐阜市長良）の城を攻め、九月三日城田（岐阜市城田寺）へ進出し、二四日には八代を落として戦功をたてた表50。濃北一覧には「東・鷲見両氏が対立して、建武三年九月三〇日に常顕が、忠保を向鷲見城に攻めて降伏させた」とあるが、前に述べたように、九月には両者は連合して宮方軍と戦っており、濃北一覧の説は誤りであろう。
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『関市史』（関市教育委員会編集。関市役所発行。昭和四十二年（一九六七）十一月）一九二頁に、
一三三六年（建武三年）、北朝方郡上の鷺【ﾏﾏ】見藤三郎忠保・東常顕は、後醍醐天皇の甥、弾正尹尾崎宮と関の迫間・北野附近で戦い、宮方の八代城（岐阜市長良八代）を攻め滅ぼした（前田文書）。
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