佐味親王


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『 親 王 ・ 諸 王 略 傳 』
　　佐 [佐味]

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□ 佐味親王
　
【出自】
　桓武天皇の男子（第九皇子）。
　
【母】
　多治比眞人眞宗
　桓武天皇の夫人。
　多治比眞人長野の女子。
　葛原親王、佐味親王、賀陽親王、大德親王、安濃内親王、因幡内親王の母。
◎ 『歴代編年集成』十二「桓武天皇」「皇子佐味親王」
母同葛原、夫人多治比眞人。
　　　　　　參議長野女也。
四品彈正尹。
◎ 『一代要記』乙集「桓武天皇」皇子「佐味親王」
四品彈正尹。母夫人多治比員子。天長二年閏七月薨。
※ 『稿本桓武天皇實録』三四二頁〔按〕
親王、誕生ノ年月明カナラズ、今薨年ニ據リ逆算ス、又多治比眞宗ノ名ニ關スル異説ニツキテハ夫人多治比眞宗ノ條ヲ參看スベシ、
　
【經歴】
● 七九三年（延暦十二年）生。
● 延暦二十一年（八〇二）十二月十八日、桓武天皇に獻物す。
◎ 『類聚國史』七八「獻物」延暦二十一年十二月庚子
佐味親王及右大臣從二位神王獻物。
● 大同三年（八〇八）正月二十九日、尾張國に所有していた墾田 八町が、公田となった。
◎ 『類聚國史』七九「禁制」大同三年（八〇八）正月辛亥
在尾張國佐味親王墾田八町、爲公田。以爲民有妨也。
● 弘仁三年（八一二）正月七日、無品から四品に敍される。
◎ 『日本後紀』弘仁三年正月丙寅
无品佐味親王授四品。正五位下多賀王正五位上。无位石野王、正六位上原王從五位下。
◎ 『類聚國史』巻九十九「職官」四「叙位」四、弘仁三年正月丙寅
无品佐味親王授四品。正五位下多賀王正五位上。无位石野王、正六位上原王從五位下。
● 弘仁八年（八一七）十月一日、彈正尹に任じられる。
◎ 『日本紀略』弘仁八年十月丁巳朔
四品佐味親王爲彈正尹。
● 弘仁十四年（八二三）九月二十九日、中務卿に任じられる。
◎ 『日本紀略』弘仁十四年九月庚辰
四品佐味親王爲中務卿。二品葛原親王爲彈正尹、大宰帥如故。
● 天長二年（八二五）閏七月十六日、薨逝。三十三歳。
◎ 『日本紀略』天長二年閏七月丁亥
彈正尹佐味親王薨。桓武天皇第九皇子也。容儀閑雅、頗好女色。天皇踐祚之日、行立朝堂、暴疾倒臥、呼聲似驢、輿病而出。不經幾日薨。時年卅三。
※ 『稿本桓武天皇實録』三四三頁〔按〕
親王ノ薨年、吹上本帝王系圖ニ三十二或ハ三十三ト記シ、本朝皇胤紹運録塙本、古板本、壬生本、親長筆本等ニ三十二トアリ、今日本紀略竝ニ帝王系圖傍書ノ記載ニ從フ、然レドモ日本紀略ニ親王淳和天皇踐祚ノ日暴疾ニヨリ倒臥シ、後幾日を經ズシテ薨ズトアルモ、天皇ノ踐祚ハ、弘仁十四年四月十六日ニシテ、薨去マデ二年餘ヲ經タレバ、其記載ハ疑フベキニ似タリ、
　
【逸事】
● 容儀が閑雅で、頗る女色を好んだ。
◎ 『日本紀略』天長二年閏七月丁亥
● 母夫人 多治比眞人眞宗と同居していた。平城天皇の時期、權勢を得ていた藤原朝臣仲成は、笠朝臣江人の女子を妻としていたが、妻の同母姉妹が頗る容姿が美しいのを見て、嫌われているにもかかわらず強引に關係を持とうとしたため、彼女は脱出して佐味親王のもとに出奔した。藤原仲成は、佐味親王と多治比眞宗の家に入り、彼女を認めると、暴言を吐き、人道に反する行爲をおこなった。
◎ 『日本後紀』弘仁元年九月戊申
･････ 仲成者、參議正三位宇合之曾孫、贈太政大臣正一位種繼之長子也。性狼抗使酒、或昭穆无次、忤於心不憚掣蹶。及乎女弟藥子專朝、假威益驕、王公宿德多見凌辱。民部大輔笠朝臣江人之女適仲成也。其姨頗有色、仲成見而悦之、嫌其不和、欲以力強。女脱奔佐味親王。仲成入王及母夫人家認之、麁言逆行、甚失人道。及遭害、僉以爲自取之矣。
　
【文獻等】
● 『稿本桓武天皇實録』三四二～三四三頁「皇子佐味親王」

　
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公開日時：2025.02.17.
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