『親王・諸王略傳』尊［尊雅①］

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正和五年（一三一六）八月、「四辻若宮」（尊雅王に比定される）は、父「入道親王」（善統親王に比定される）より、その所領の一部、七條院領の本所進止の十七箇所のうち山城國上桂荘と攝津國仲荘を讓渡された。

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『東寺百合文書』ほ函「七條院領相傳系圖」

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『東寺百合文書』ほ函「正和五年八月日付善統親王讓状案」

入道親王【善統】被進若宮御讓[状]案
　讓申　　所領事
　　山城國　上桂庄
　　攝津國　仲庄
右庄々、七條院御領本所進止之分十七个所内也。仍附屬如件。
　　　　正和五年八月日　　　　　　　　　　御判
　　若宮御方

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ところが、「四辻入道親王」即ち善統親王は、既に弘安十年（一二八七）十一月十八日、上桂荘を含む七條院領四箇所を「宮僧正」即ち深惠に讓渡していた。そして、「宮僧正」深惠は、元亨三年（一三二三）三月十五日、上桂荘を「歡喜院法印御坊」即ち俊雅僧正に讓渡した。よって、俊雅は、上桂荘を自らが相傳している事實について、尊雅王に對し確認を求めた。かくて、元亨三年（一三二三）十月一日、「若宮」即ち尊雅王は、俊雅僧正への上桂荘の去状に加判し、上桂荘を抛棄した。

◎ 『東寺百合文書』ほ函「弘安十年十一月十八日付善統親王讓状案」

◎ 『東寺百合文書』ほ函「元亨三年三月十五日付深惠僧正讓状案」

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『東寺百合文書』ほ函「元亨三年十月一日付四辻若宮去状案」

若宮御去状案
山しろのくに上かつらの庄事、へちさうてん【別相傳歟】のうゑハ、もとより御いろい【異論歟】あるへき事にて候ハす候。さりなから、のちのために、ことさら御判をのせられ候よし、四辻宮の候なり。
　　　　元かう三ねん十月一日　　　　　　　御判

※ 「深惠」をも見よ。

●	楓山本・刻本・吹上本・群書類從本『本朝皇胤紹運録』、吹上本『帝皇系圖』、『尊卑分脈』「順德院」裔には「尊雅王」とある。
●	山田本『本朝皇胤紹運録』には「尊雅」とある。
●	『一代要記』「`第八十四`順德天皇」に不見。
●	三千院藏『帝皇系圖』に不見。
●	前田本『帝王系圖』に不見。
●	岩倉本『本朝皇胤紹運録』に不見。

□	無極志玄「佛慈禪師」
○	智仙聖通［通玄寺曇華院］
□	善成王源朝臣善成［四辻宮（三）］

●	『皇室制度史料　皇族四』一六～一九頁
●	清水正健『皇族考證　第肆巻』二五五、二五九～二六四頁