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一三二六年（正中三年／嘉暦元年）生。
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立親王年より逆算。
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『稿本後醍醐天皇實録』八二六頁の按文に、
親王誕生ノ年月、諸書ニ記載ナシト雖モ、相顯抄ニ元弘二年立親王ノ時八歳トアルニ據リテ逆推スレバ、嘉暦元年ノ誕生ニ當リ、神皇正統記ニ同母の御兄も前東宮恒良親王、成良親王ましまし云々トアル序次ニモ合ヘリ、而シテ太平記卷十三、成良親王鎌倉御沒落事ノ條ニハ第八宮トシ、同書卷十九、東宮附將軍宮御隱事ノ條ニハ第七宮トシテ一定セズ、
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とある。
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元弘二年（一三三二）三月、權大納言藤原朝臣公宗［西園寺大納言］の第に遷される。
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元弘三年（一三三三）十一月二十日／二十三日、親王宣下。八歳。
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前田本『相顯抄』鎌倉將軍次第「成良親王（自元弘三十一、至建武二年）」
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『續史愚抄』元弘三年十一月廿三日癸丑
今上第七皇子（或作第十九、不審。御年八。母從三位藤原朝臣廉子）御名字成良有親王宣下（〔鎌倉將軍次第、紹運録、神皇正統記、皇年代私記追〕）。
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元弘三年（一三三三）十二月十四日、左馬頭源朝臣直義［足利］に奉戴されて關東へ下向。十二月二十八日、鎌倉に到着。鎌倉に政廳を定める。
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『武家年代記』下
同【元弘三年十二月】十四、御進發、將軍宮并相州（直義）關東下向。
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『關城初裏書』
關東號正慶二年
今年（元弘二（三イ））十二月、成良親王并左馬頭直義下向鎌倉。
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『將軍執権次第』
元弘三年十二月廿八日、宮御下向關東。左馬頭、山城入道以下御共。二階堂小路以山城美作入道屋鋪爲御所。
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『神皇正統記』
同【元弘三年】十二月、左馬頭源直義の朝臣相模守を兼して下向す。是も四品上野の太守成良親王をともなひ奉る。
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『梅松論』
次に關東へは同年【元弘三年】の冬、成良親王、征夷將軍として【ﾏﾏ】御下向也。下御所左馬頭殿供奉し奉られしかば、東八ヶ國の輩大略勵し奉りて下向す。
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『保暦間記』
同十二月、主上ノ宮ナリヨシ親王ト申ニ、尊氏舍弟左馬頭直義朝臣ヲ相副テ、關東ヘ八ヶ國爲守護下向アリ、是ヲ鎌倉ノ將軍トソ申ケル、
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久保田収『建武中興』74頁所引『保暦間記』讀下し
同じ十二月、主上の宮成良親王と申すに、尊氏舎弟左馬頭直義朝臣相副ひて、関東八ヶ国守護のため下向あり。鎌倉の将軍とぞ申しける。されども、出羽奥州を取り放さるゝ間、東国の武士多く奥州に下る間、古の関東の面影(おもかげ)なかりけり。
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元弘三年（一三三三）十二月二十日付を以て、相模國鎌倉の淨光明寺を御祈願所と定め、これに祈禱を命ずる令旨を發す。
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元弘三年十二月廿日付「成良親王令旨」（相模淨光明寺文書）
相模國淨光明寺【鎌倉遺文傍注「(鎌倉)」】、爲御祈願所、可被致御祈擣【禱】忠之由、依 御氣色【鎌倉遺文傍注「(成良親王カ)」】、執達如件、
元弘三年十二月廿日 散位（花押）
如仙上人【鎌倉遺文傍注「(高慧)」】御房
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『鎌倉遺文』第三二七八〇號文書（古文書編 第四十二巻、七七（一六四三四）頁上）
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元弘四年（一三三四）正月十三日、四品に敍され、上野太守に任じられる。
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『實隆公記』文明七年九月十八日甲子
除目親王任官例
建武元年正月十一日、縣召除目議始。同十三日入眼（執筆右大臣長□）
上野太守成良親王
同【建武元年】 十二月十七日京官（執筆内大臣定房）
中務卿恒明親王
同【建武】二年十一月廿六日京官（執筆右大臣公賢）
中務卿尊良親王 式部卿恒明親王
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前田本『相顯抄』鎌倉將軍次第「成良親王」
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『續史愚抄』元弘四年正月十三日壬寅
除目竟。入眼。無品成良親王（在鎌倉）敍四品、任上野太守（〔鎌倉將軍次第、紹運録、皇年代私記、執筆抄、神皇正統記〕）。
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建武元年（一三三四）四月十日、平朝臣時繼［三浦介］の勲功を賞し、武藏國安達郡大谷郷および相模國大住郡河内郷の地頭職を授与する下知状を發する。
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建武元年四月十日付「成良親王下知状」（葦名古文書）
可令早三浦介時繼法師（法名道海）領知武藏國大谷郷（下野右近大夫將監跡）、相模國河内郷（澁谷遠江權守跡）地頭職事、
右爲勲功賞所宛行也者。早守先例、可令領掌之状、依仰【成良親王】下知如件。
建武元年四月十日 左馬頭源朝臣〔花押〕
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「中先代の亂」により、建武二年（一三三五）七月二十二日／二十三日、足利直義に伴われて鎌倉を脱出。東海道を西上し、三河國矢作宿に到る。足利直義は矢作宿に留まり、成良親王は京都に送還され、大江朝臣時古に伴われて歸洛。
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『梅松論』
[建武二年]七月廿二日、下御所左馬頭殿鎌倉を立御向有し、同日藥師堂谷の御所にをいて兵部卿親王【護良親王】を失ひ奉る。御痛はしさ申もなか々々をろかなり。武藏の井の出澤にをいて戰ひ暮しけるに、御方勢多く討れし程に、俄に海道を引退給ふ。上野親王成良、義詮六才にして同相伴ひ奉る。手越の驛に御著有し時、伊豆・駿河の先代方【北條方】寄來る間、扈從の輩、無勢成と雖、武略を廻らして防戰ふ處に、當國の工藤入江左衞門尉百餘騎にて御方に馳參て忠節を致ける程に、敵退散しけり。則宇津谷を越て三河國に馳付給ひて人馬の息を休め給ふ。
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『神皇正統記』
建武乙亥の秋の比ほひにし高時が餘類謀叛をおこして鎌倉にいりぬ。直義は成良の親王を引つれ申て、參河の國までのがれにき。
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『關城書裏書』
今年（建武二）七月、信濃國凶徒蜂起襲鎌倉。直義沒落。護良親王遇弑。藤原高朝【小山秀朝】於武藏國府自害。大江時古奉抱成良親王歸洛。
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『太平記』
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建武二年（一三三五）八月一日、征夷大將軍を兼ねる。
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前田本『相顯抄』鎌倉將軍次第「成良親王（自元弘三十一、至建武二年）」
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『神皇正統記』
此親王【成良親王】後にしばらく征夷大將軍を兼ぜさせ給ふ。
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『職原抄』下「征夷使」
大將軍一人 ･････ 上野大守成良親王令兼之給。
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『梅松論』
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『梅松論・源威集』（新撰日本古典文庫 三）（矢代和夫・加美宏校注。現代思潮社、一九七五年八月）、六五頁。同二〇五～二〇六頁、注九三。
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久保田収『建武中興』（日本教文社、昭和四十年九月）71頁に、
建武二年（一三三五）七月、北条時行（【振假名】ときゆき）の乱が起こった。これは中先代（【振假名】なかせんだい）の乱ともいわれたが、このとき、高氏はみずから関東に下って、これを平定することを願い出るとともに、自分を征夷大将軍、諸国総追捕使（【振假名】そうついぶし）に任命されるように求めた。しかし、朝廷では、これを認められなかった。『神皇正統記』によると、わずかに征東将軍とせられるにとどまったというのである。そこで、高氏は、やむなく八月二日に京都を出発したが、『相顕抄（【振假名】そうけんしよう）』や『鎌倉将軍次第（【振假名】かまくらしようぐんしだい）』によると、その前日、当時鎌倉におられた成良（【振假名】なりよし）親王に征夷大将軍を兼ねしめられているのである。これによって尊氏に対する深い警戒がなされていたことがうかがい知られるとともに、征夷大将軍をどこまでも臨時的な官とせられていることと、文武の大権がわかれないように留意されていることが知られる。武家政治の再現を防止しようとする意図が明らかである。
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とある。
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建武三年（一三三六）二月、征夷大將軍を辭す。
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『職原抄』下「征夷使」
大將軍一人 ･････ 上野大守成良親王 ･････ 建武三年二月被止其號畢。
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久保田収『建武中興』（日本教文社、昭和四十年九月）71頁に、
『職源抄』によると、このときの成良親王の征夷大将軍兼補は、翌建武三年（一三三六）二月までの半年間に過ぎなかった。二月というと、京都の戦いに敗れて、高氏があわただしく九州に逃れ去ったときである。つまり、朝廷では、征夷大将軍を本来の性質に近い意味で考えられ、国内に叛乱が起こった際の平定のために、臨時におくものとせられていたのである。
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とある。
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建武三年（一三三六）十一月十四日、光明院の皇太子として立太子。
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『皇年代略記』建武三年十一月十四日
以先帝皇子成良親王爲皇太子（十二月先帝又御出奔之後廢之。新院【後醍醐天皇】第十九皇子。元上野太守。去年之比征夷大將軍。御母准后從二位藤原朝臣廉子）。
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『歴代皇紀』五、光明天皇
皇太子
成良親王 後醍醐皇子。母准三宮廉子。建武三十一十四立。十【ﾏﾏ】元上野太守、征夷大將軍。
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『神皇正統記』
主上【後醍醐天皇】をば尊號の儀ましましき。御心をやすめたてまつらん爲にや成良親王を東宮にすゑたてまつる。
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『東宮坊官補任』
成良親王 建武三年十一月十四日立太子。
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建武四年（一三三七）、廢太子。
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『公卿補任』光明天皇 建武四年
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『歴代皇紀』五、光明天皇
皇太子
成良親王 ･････ 建武三十二廿二新院【後醍醐天皇】出御洛中。後廢之。
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近衞基嗣のもとに預けられる。
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康永三年（一三四四）正月六日、薨逝。十九歳。
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『師守記』康永三年正月六日丁卯
後聞。今日後醍醐院皇子（先坊）御事。此間、被預申近衞前殿【基嗣】也。
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『太平記』
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『續史愚抄』建武五年四月十三日戊寅
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『稿本後醍醐天皇實録』八三二頁の按文に、
親王、太平記ニ延元三年四月、兄恒良親王ト共ニ足利氏ノ爲ニ毒殺セラレシ由見エ、續史愚抄亦建武五年四月薨ト爲セドモ、本條師茂記ニ先坊ト有ルハ成良親王ヲ指セルモノナルベケレバ、今姑ク同記ニ據リ掲記ス、尚ホ年十九ハ相顯抄元弘三年八歳ノ文ニ據リテ推算セリ、
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とある。
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