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太皇太后宮藤原彰子のもとに仕える。
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萬壽元年（一〇二四）十二月六日夜、路上で殺害され、遺骸は犬に喰われた。
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『小記目録』第十七「臨時 七」「捜盗事（付盗賊）」
「萬壽元年十二月八日、華山院女王、爲盗人、被殺事」
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『小右記』萬壽元年十二月八日壬戌
一昨、華山院女王、爲盗人被殺害、路頭死。夜中、爲犬被食。奇恠也。此女王、被候太皇太后宮【藤原彰子】。或云。非盗人所爲。將出女王於路頭殺云々。
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女王の殺害は秘せられたが、人に多く知られてしまった。そのため、萬壽元年（一〇二四）十二月十六、元日節會の擬侍從を定める際、年來の通例では花山院の男子で女王の兄にあたる昭登親王・淸仁親王が定められるべきところを、代わって三條院の男子、敦儀親王・敦平親王が擬侍從に定められた。
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『小右記』萬壽元年十二月十六日庚午【擬侍從荷前使定】
…… 先定元日擬侍從。花山兩親王（【右注】兵部卿【昭登親王】・彈正尹【清仁親王】）年來入定。而妹女王被殺云々。可有服歟。雖秘藏多入人耳。仍定三条院兩親王（式部卿【敦儀親王】・中務卿【敦平親王】）。次定荷前使。……
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萬壽二年（一〇二五）三月十六日、檢非違使の右衞門尉平時通が、女王を殺害した盗賊（法師隆範）を捕えたが、その同類には逃げられた。
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『小記目録』第十七「臨時 七」「捜盗事（付盗賊）」
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『小右記』萬壽二年三月十七日己亥
別當【檢非違使別當藤原經通】消息云。捕遣殺害女王之者、使官人等有其勤者、可給祿歟。送絹四疋。隨有先遣二疋。昨日、右衞門尉時通【平】、捕殺女王之盗。同類逃脱云々。
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萬壽二年（一〇二五）四月五日、右衞門尉平時通が、女王を殺害した盗賊（法師隆範）を藤原道長・天皇（後一條院）・關白藤原賴通のもとに連行した。
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『小記目録』第十七「臨時 七」「捜盗事（付盗賊）」
「同年【萬壽二年】四月四日、捕花山院女王殺害盗人事」
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『左經記』萬壽二年四月五日丙辰
參御堂・内・關白殿等。入夜、右衞門尉平時通、追捕殺害故華山法帝女王之盗人持參。即召御前、問追捕案内、并被仰感譽詞。及深夜帰宅。
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萬壽二年（一〇二五）七月二十五日、女王を殺害した法師隆範を拷問にかけ訊問。隆範は、左中將藤原道雅の命令によって女王を殺害したと自供した。
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『小記目録』第十七「臨時 七」「鬪乱事（付刄傷 謀殺 罪科）」
「同年【萬壽二年】七月廿五日、捕進奉殺華山院女王法師事」
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『小右記』萬壽二年七月廿五日乙巳「花山院女王殺事」
檢非違使左衛門尉顯輔云。檢非違使時通【平】捕進[殺]華山院女王之法師隆範、今日拷訊。申上件事、左三位中將道雅【藤原】令殺者（【右傍】日記注□三位同□名号事）。勘問日記別當持參關白御許。虚実難知。何樣可被行乎。猶彼一家之餘殃歟。可悲々々。
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繁田信一『殴り合う貴族たち ── 平安朝裏源氏物語』第８章「花山法皇の皇女、路上に屍骸を晒す」の138～140頁には、藤原道雅こそが殺害事件の眞犯人であることが示唆されている。
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萬壽二年（一〇二五）七月二十八日、「花山院女王」を殺害した「強盗首」が來降。
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『小右記』萬壽二年七月廿八日戊申「殺花山院女王犯人事」
別當【檢非違使別當藤原経通】書云。「強盗首來降。則是殺花山院女王者也。可拷訊乎如何」。余報云。「拷掠【訊】降人未知事也」。又云。「可免歟。若可令道官人勘申歟」。余報云。「不可更免。唯不可拷乎」。以道志令勘申尤佳事也。就中犯死罪者使廳難進退歟。
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繁田信一『殴り合う貴族たち ── 平安朝裏源氏物語』第８章「花山法皇の皇女、路上に屍骸を晒す」の140～143頁には、この「強盗首」に関する話があるが、其處には、
事件の首謀者として自首した男は、まず間違いなく、貴族社会が仕立てた偽者であったろう。王朝貴族社会の人々は、偽の首謀者を仕立て上げてまで、早々に事件に幕を下ろしてしまいたかったのである。
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